自死遺族支援全国キャラバンのシンポジウムに参加して
少し前になりますが、今月1日、東京・有明のビッグサイトで開催されたあるシンポジウムに参加してきました。
そのシンポジウムのタイトルは、
自殺を「語ることのできる死」へ ~自殺対策新時代 官民合同シンポジウム~ です。
この7月から全国に展開されてゆく「自死遺族支援全国キャラバン」のキックオフ大会として、そのキャラバンの実行委員会と内閣府の共同主催として企画開催されました。
なぜこのシンポジウムに参加したかというと、理由は二つあります。
一つは、今携わっている仕事の一つが、この自殺の要因となりうる案件の相談業務である事。また、別の仕事でも、逆に啓発活動を行う上で必要と考えたから。
もう一つは、一度は自分でも死を考えた事があり、そして自殺防止は常に心に思っているテーマであった事。
(参考 Rossyの別ブログHow do you think?の2006.11.11「お願いです!自殺だけは止めて!!」)
NHKアナウンサーで、「福祉ネットワーク」などの番組を担当している町永俊雄氏の司会進行によって、このシンポジウムは始まりました。
初めに、この「自死遺族・自殺対策」について、実行委員会の清水康之氏の説明がありました。
この自死遺族支援とは、自殺で家族を亡くしてしまった人たちを、心や生活の面で支える活動の事を指しています。
しかしながら、それだけでは本当に解決にはならないのです。
知られているようで意外に知られていない、日本国内の自殺者の多さ。その数は9年連続で年間30,000人を超えています。それは、交通事故死の約2.3倍!その自殺を減らさなければ、自死遺族の人数も増えて行くばかりです。
企画の中核を担っているNPO法人「自殺対策支援センター ライフリンク」の代表 清水康之氏は、元NHKの番組ディレクター。
自ら製作した自死遺族たちのドキュメンタリーを通じて、日本の自殺対策に限界を感じ、NHKを退職してこのNPO法人を設立。国会へも働きかけを行い、昨年度成立した「自殺対策基本法」への貢献も行ったとのことでした。
そして第一部は、自殺で3年前に父親を亡くした福岡の大学生 桂城舞さんの体験告白。
『家を出て行ってしまった父から、一緒に食事しようと誘いの電話があった。けれど、気持ちが乗らずに断るばかりか、うその理由で小遣いを要求した。お金はすぐ口座に振り込ま、その数日後、父が自殺した。父には多額の多重債務があることが分かった。自責の念や、長女ゆえに周囲から過度の期待をかけられたり、父の強さ・大きさへの想いなどで、日々苦しく、自殺さえ考えた・・・。』
そんな実際の体験者でしか伝えられない、辛く切実な声を見聞きし、正直会場内でRossyは涙してしまいました。
でも、『こうした自殺・自死遺族の現状を少しでも多くの人に知って欲しい。自分がここまで生きてこられたのは、周囲の人の支援があったことを訴えたい。』という彼女の主張に、心から共感するものがありました。
*その時の様子が、「YOMIURI ONLINE 7/2付フォトニュース」で紹介されています。
第2部は、清水氏と、清水氏のNHKのドキュメンタリーに出演し現在NPO法人「自死遺族支援ネットワークRe」を主宰する山口和浩氏、東京大学大学院教授で「自殺対策の法制化を求める3万人署名」の支援者代表を務めた姜尚中氏の3人のパネルディスカッション。
自殺・自死遺族支援に関する様々な意見交換がされる中で、印象に残った言葉があります。
それは、「イギリス元首相のサッチャー女史は、『あるのは社会ではない、あるのは個人である』と言ったが、今必要な事は、共同体主義への回帰ではないか」という姜氏の提言。
孤独死やいじめ、多重債務や様々な悩みを抱えながら、結局一人で死を選んでしまう自殺。自殺はその人だけの悩みではなく、もっと周囲の人が・社会がケアしたり、自殺の無い社会=誰もが生き易い社会を目指したりする、そんな問題意識を共有してゆけば防げるのではないか。私自身、そう思いました。
そして第3部は、多重債務対策に関するパネルディスカッション。
年間30,000人の自殺者のうち約8,000人は、この多重債務、いわゆる借金返済の問題で命を自ら絶っているのです。だから、自殺防止と多重債務問題の解決は、とても密接な関連があります。
このディスカッションでは、内閣府や弁護士・自治体関係者や自死遺族の多重債務相談を行っている遺族の会など、この問題の各方面の専門家が、それぞれの立場から状況報告と意見を発表していました。
消費者金融の利用者は、今、全国に約1200万人。そのうちの約200万が、元金を返す事に窮して他の金融業者から借金を重ねている「多重債務者」と言われています。と言う事は、国民の100人に1~2人は多重債務を抱えて悩んでいることになります。
多重債務の問題は、Rossyも消費者センターやその他の相談業務で、常に関わっている問題。その多さや苦しまれている方の声、でも相談すれば必ず解決できる事を知っているだけに、何も相談できず・あるいは相談の対応が悪くて悩んだまま自殺してしまう人のことを思うと、本当に心が締め付けられるように想いです。
「自殺総合対策大綱」が内閣府所管で6月に閣議決定されました。
それと前後し、この多重債務については、今年4月、「多重債務問題改善プログラム」を首相官邸が策定しています。また、そのプログラムに基づいて、金融庁が「多重債務者相談マニュアル(案)」を提示しています。
この自殺対策と多重債務の両方の政策が、どれだけリンクして各自治体でまんべんなく実行されてゆくのか。ポイントはそこにあるといった現状や問題点が、このパネルディスカッションでは浮き彫りになった内容となりました。
プログラムの最後は、この「自死遺族支援全国キャラバン」の出発宣言を発表。開催時間約4時間30分の長丁場でしたが、非常に内容のあるでした。
そして自分にとって一番の成果は、これまで考えたことも無い『自殺防止と言う視点から物事を考えて行動する』見方を持つ事ができた事。
この世の中で、一番大切なのは命。微力ながら、少なくともその命の大切さを伝えたり、悩んでこれからどこにどう相談しようかと考えて電話してくる人を応対している今の自分。
この見方を常に心の中に持ち続けて、全ての事をに対して、責任と自分の役割を果たしてゆきたい・・・。
消費生活アドバイザーの一人として、そしてRossy個人として、強くそう願う事ができたシンポジウムでした。
⇒注目 このシンポジウムの模様が、テレビで放映されます。
7月18日 20:00 教育テレビ「福祉ネットワーク」
<関連参考サイト>
・Rossyの別ブログ How do you think? 2007.7.15付「自殺防止の事、考えませんか?」
・ストップ自殺 進む官民連携(YOMIURI ONLINE 2007.6.4付)
・国の自殺対策について(内閣府)
・自殺予防対策など自殺に関する情報提供(自殺予防総合対策センター)
・「多重債務問題改善プログラム」(首相官邸 多重債務者対策本部)
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